Wikipediaは、ネットならではの便利なものしり百科だ。
が、内容は玉石混淆だ。利用する時は気をつける必要がある。特に、出典が明記されていない記述は迂闊に信じない方がいい。執筆者の無知、無理解、悪意を披露しているだけのこともあるからだ。
例えば、Googleで「メイド・オブ・オーリーンズ」を検索すると、トップにはWikipediaの「オーケストラル・マヌヴァーズ・イン・ザ・ダーク」の記事が現れるだろう(7月8日時点)。
その記事にはこうある:
「Architecture&Morality所収の『オルレアンの少女』Joan of Arc (Maid of Orleans)は大幅なアレンジを施されてテレビ番組『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉 』のエンディングテーマとして使用されているが、権利関係、演奏者等の詳細は不明である。ちなみに同曲は『メイド・オブ・オルレアン』と紹介されることもあるが、あえて指摘すれば『メイド・オブ・オーリーンズ』という方が適切かもしれない。」(同記事より引用;注1)。
これにはビックリした。
このWikipedia氏は、グレゴリアン(Gregorian)というグループを知らなかったに違いない。『オーラの泉』のエンディングテーマに使用されていたのは、そのグレゴリアンのアルバムに収録されたものだ(注2)。原曲は確かにOrchestral Manoeuvres in the Darkの『Maid of Orleans』だが。私は、原曲もグレゴリアン版も、どちらも買って持っている。
ついでに言うと、ひょっとすると、このWikipedia氏は、ドイツの大詩人、フリードリッヒ・フォン・シラーの戯曲『オルレアンの少女』のことを知らなかった可能性もある。
Maid of Orleansとは、ジャンヌ・ダルク(英語でJoan of Arc)のことだ。『Maid of Orleans』は、シラーの戯曲『オルレアンの少女』(英語で言えば『Maid of Orleans』)だ。ちょっとした文学好きなら『オルレアンの少女』は知っているだろう。日本では、『オルレアンの少女』という日本語訳が定着している(していた)のだ(注3)。
上記Wikipedia氏はこう書いている。「同曲は『メイド・オブ・オルレアン』と紹介されることもあるが、あえて指摘すれば『メイド・オブ・オーリーンズ』という方が適切かもしれない」。
しかしそういうわけで、『メイド・オブ・オーリーンズ』は日本ではものすごく違和感がある(英語の読みには忠実かもしれんが)。そんな風に読むと、何だか、19世紀アメリカ南部の奴隷解放前の農場の召使い、というイメージになりゃしないか? もちろん、『メイド・オブ・オルレアン』も中途半端で、「何で最後の単語だけフランス語読み?」、と言いたくはなる。
だから、素直に『オルレアンの少女』にしときなはれ。
と言いたくなるのだった。
__________
(注)
- Wikipedia日本版の項目「オーケストラル・マヌヴァーズ・イン・ザ・ダーク」(2009年7月8日時点): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF
- 下記リンク参照。
- 下記リンク参照。