コラーゲンの正体 - こんなの食べても無意味ですって、美容には
以前にも書いたが、「美容のためにコラーゲンを食べたり飲んだりする」という都市伝説は意外に根深いものがある。
以前の記事: 「コラーゲンやヒアルロン酸を食べても無意味です、美容には」
http://higashiooi-machio.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-de7c.html
しかし、コラーゲンを「信仰」している人のうち、その正体を知っている人は実はほとんどいないのではないか?
コラーゲンは、言うまでもなくタンパク質だ。ヒトゲノム中のコラーゲン遺伝子のDNA配列にしたがって、アミノ酸が長々と直鎖状に連なってできる。
実はコラーゲンは、タンパク質科学に関わる者には、昔からなじみ深いタンパク質の一つだった。「食べると美容にいい」という詐欺商売、都市伝説が広まる前からだ。というのも、何万種類もあるタンパク質の中でも、ちょっと特殊なのだ。
その正体がこれだ↓
>gi|110349772|ref|NP_000079.2|
alpha 1 type I collagen preproprotein
[Homo sapiens]
MFSFVDLRLLLLLAATALLTHGQEEGQVEG
QDEDIPPITCVQNGLRYHDRDVWKPEPCRI
CVCDNGKVLCDDVICDETKNCPGAEVPEGE
CCPVCPDGSESPTDQETTGVEGPKGDTGPR
GPRGPAGPPGRDGIPGQPGLPGPPGPPGPP
GPPGLGGNFAPQLSYGYDEKSTGGISVPGP
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PGASGPMGPRGPPGPPGKNGDDGEAGKPGR
PGERGPPGPQGARGLPGTAGLPGMKGHRGF
SGLDGAKGDAGPAGPKGEPGSPGENGAPGQ
MGPRGLPGERGRPGAPGPAGARGNDGATGA
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PGPPGERGGPGSRGFPGADGVAGPKGPAGE
RGSPGPAGPKGSPGEAGRPGEAGLPGAKGL
TGSPGSPGPDGKTGPPGPAGQDGRPGPPGP
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RGEQGPAGSPGFQGLPGPAGPPGEAGKPGE
QGVPGDLGAPGPSGARGERGFPGERGVQGP
PGPAGPRGANGAPGNDGAKGDAGAPGAPGS
QGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGDRGDAGP
KGADGSPGKDGVRGLTGPIGPPGPAGAPGD
KGESGPSGPAGPTGARGAPGDRGEPGPPGP
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AGKEGGKGPRGETGPAGRPGEVGPPGPPGP
AGEKGSPGADGPAGAPGTPGPQGIAGQRGV
VGLPGQRGERGFPGLPGPSGEPGKQGPSGA
SGERGPPGPMGPPGLAGPPGESGREGAPGA
EGSPGRDGSPGAKGDRGETGPAGPPGAPGA
PGAPGPVGPAGKSGDRGETGPAGPAGPVGP
VGARGPAGPQGPRGDKGETGEQGDRGIKGH
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RGPPGSAGAPGKDGLNGLPGPIGPPGPRGR
TGDAGPVGPPGPPGPPGPPGPPSAGFDFSF
LPQPPQEKAHDGGRYYRADDANVVRDRDLE
VDTTLKSLSQQIENIRSPEGSRKNPARTCR
DLKMCHSDWKSGEYWIDPNQGCNLDAIKVF
CNMETGETCVYPTQPSVAQKNWYISKNPKD
KRHVWFGESMTDGFQFEYGGQGSDPADVAI
QLTFLRLMSTEASQNITYHCKNSVAYMDQQ
TGNLKKALLLQGSNEIEIRAEGNSRFTYSV
TVDGCTSHTGAWGKTVIEYKTTKTSRLPII
DVAPLDVGAPDQEFGFDVGPVCFL
米国NCBIのデータベース中のデータを引用した。最初の3行は注釈だ。それ以降の行の、大文字のアルファベットの連なりがアミノ酸配列を表している。1つ1つの文字が、アミノ酸の種類を表している。便宜上、30アミノ酸ごとに改行してある。なお、コラーゲンにはいくつかのタイプがあり、ここではその1つを代表として示してある。
アミノ酸と文字の対応は次の通り:
A(アラニン)、C(システイン)、D(アスパラギン酸)、
E(グルタミン酸)、F(フェニルアラニン)、
G(グリシン)、H(ヒスチジン)、I(イソロイシン)、
K(リジン)、L(ロイシン)、M(メチオニン)、
N(アスパラギン)、P(プロリン)、
Q(グルタミン)、R(アルギニン)、S(セリン)、
T(スレオニン)、V(バリン)、
W(トリプトファン)、Y(チロシン)。
生物のタンパク質は、この20種類のアミノ酸でできている。
御覧のように、遺伝子から翻訳されたコラーゲンは、1464個のアミノ酸からできている(数えて確かめてみて下さい)。
その後、両端が少し切れて、お肌などで働くのは、明るい青色で示した部分(1057個のアミノ酸)だ(数えて確かめてみて下さい)。かなりデカいタンパク質だ。
上の文字列(アミノ酸の並び)をよく眺めてください。
単調な短い配列の繰り返しが多い。G(グリシン)とP(プロリン)だらけだ。3アミノ酸ごとにグリシンが現れるというパターンがある。このため、コラーゲンは、左巻きのらせん状の立体構造(コラーゲンへリックス)をとる。そして、3分子のコラーゲンが右巻きに絡まりあった「3重へリックス」(コイルドコイル)を形成する。
それがどんな構造か、ちょっと見てみたい人は、例えば次のWebページ(米国NCBIのWebページ)で見ることができる:
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/mmdb/mmdbsrv.cgi?uid=67037
こんなものを食っても、そのまま吸収されて身につくわけがない。
小腸から吸収される時は、バラバラになったGとかPとか、ただのアミノ酸だ。百歩譲っても、数アミノ酸程度の断片のオリゴペプチドだ。そんなものは、焼き肉からでも野菜からでも、何から摂ってもまったく同じだ。
「マイクロコラーゲン」とか「低分子コラーゲン」とか言われているものは、要するに、長いコラーゲンを数アミノ酸程度のサイズにぶつ切りにしたもの。
しかし、それはもはや「コラーゲン」ではない。ただのオリゴペプチドだ。体の中でコラーゲンと同じ働きをすることは決してない。また、体の中で結合しあって長いコラーゲンを復元するような奇跡も決して起きない。
前の記事でも書いたが、美容のためにコラーゲンを食べる人は、わずかな確率で現れるプラシーボ効果を期待しよう(ただし、この記事の意味を理解した人にはプラシーボ効果は現れない)。
あるいは、コラーゲン商品の中にこっそりと含まれているビタミンBの効果に期待しよう。
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